2017年07月22日

Splatoon:Reboot(2)


 老インクリングの名前はアタリメ司令というらしい。アタリメ司令は俺を引き連れてマンホールを経由したあるどこかの場所――タコツボバレーへと連れていかれた。
 タコツボバレーの入り口にはボロボロになっているバラックがあった。とてもじゃないが、ハイカラシティの居住区のそれとは別物だ。同じ『家』でもレベルが違うといってもいいだろう。
「ここはタコツボバレーだ。そしてここから繋がる地下には……オクタリアンが鳴りを潜めているということだ。そして、先ずはオクタリアンのボスの一匹である、タコツボックスを倒してもらいたい。実は君の先輩にあたる二人が何とか少しずつ侵攻を食い止めているのだがな……それでも時間が足りなすぎるのだよ。これでは間に合わない。だから、君にお願いしたいわけだ」
「暇なインクリングである俺だったら、何とかなると思ったわけか?」
「いいや、そういうわけではない。ただ君の眼には――いや、今はどうでもいい。今はいち早くオクタリアンからこの町を守らねばならない。それが我々の使命であり、君の使命なのだから」
「なんか面倒なことを言っている気がするが……、まあいいや。取り敢えず、どうすればいい? 話はそれからだ」
「一号と二号が既にタコツボックスの手前まで攻略を完了している。あとはタコツボックスさえ倒せばこのエリアのオクタリアンは制圧完了と言えるだろう」
「タコツボックス?」
 そうじゃ、と言ってアタリメ司令は頷く。
「タコツボックスは恐ろしい。巨大な箱のような形をしておるのじゃが、その巨躯を利用して思い切り潰してくるのじゃ! それはもう、恐ろしくて、恐ろしくて……。ただ、弱点が無いわけではないぞ。きちんと弱点もあるし判明しているから安心するがよい!」
「いや、別にそれについてはどうでもいいからさ……、その弱点とやらを教えてくれよ。いったい、どうやって倒せばいいんだ?」
「タコツボックスは基本鋼鉄の箱で覆われている。だからシューターやボムではダメージが通らない。しかし、しっぽはそれに守られていない。つまりむき出しの状態なのだ。そこを狙えば……」
 成る程。相手もそれなりに対策をしている、ということか。
 オクタリアンの体液はインクリングの体液と混じらない。正確に言えば、それぞれの身体はそれぞれの体液を受け付けないようになっていて、まるで毒のように身体をむしばんでいく。だからお互いがお互いの体液を浴びないようにしている。……そもそも、シューターやボムに自らの体液を使っている時点で、少々リスキーな感じがしないでもないが。
「でも、普通のシューターではしっぽには届かない。残念ながら、な」
「……じゃあ、どうすればいいんだ? その可能性が潰えたというのなら、別の可能性だって考えられるのでは?」
「それが今から話す、『もう一つの可能性』じゃよ、少年」
「もう一つの……可能性?」
「それはタコツボックスの攻撃方法だ。タコツボックスはその巨躯を生かし、重力を利用して潰してくる。それを狙えばいい。それは重力を利用しているが、裏を返せばしばらくは動けなくなる時間が生じる。そこを狙えばいい。そうすれば万事解決、オールオッケイじゃよ」
 オールオッケイとは言うが、それでも少々気になるところがある。それははっきり言って、正しいことだと思う。きっとこれを別のインクリングが聞いたとしても、目を点にするだろうし、現に俺もそうなっているかもしれない。あくまで、鏡が無いから『かもしれない』という曖昧な表現ではぐらかしているだけに過ぎないのだが。
「……まあ、善は急げ、じゃ! ひとまず、そこに向かってもらうことにするかの!」
 いやいや、ひとまずと言われてもそう簡単にできませんって。やっぱり段取りとか、そういうことを確認しないと不味いのではないだろうか……?
 そんなことを俺は思ったが、どうやらアタリメ司令にとってそんなことはどうでもいいようだった。
「とにかく急いで向かうのじゃ! そうしないと、一号と二号が行ったことがすべて無駄になってしまう!」
「そうは言うが……まだ俺はハイカラシティに来たばかりで、ブキも使いこなせていないイカしていない奴だぞ。そんなインクリングに任せていいのか?」
「先ずはやってみろ! つべこべ言わずに、じゃ! 話はそれから。それでダメなら致し方あるまい。何か別の方法を考えることとしようじゃないか」
 ……え、つまり、実験台か何かってこと?
 そんなことを聞こうとしたがアタリメ司令は笑顔で俺の方を見るだけだった。
 俺はその気合に押されて、何も言うことは出来なかった。

 ◇◇◇

 俺はヤカンを通過して、タコツボックスと対面した。
 タコツボックス――名前の通り、箱だ。巨大な箱。鋼鉄でコーティングされているように見えるが、ほんとうに倒すことは出来るのだろうか?
 いや、今はそれを考えている暇など無い。
 先ずはそのタコツボックスという敵を倒す必要がある。それは俺の目的にも合致する。だったらこれ以上の好機は無い。それを逃さないように、大急ぎでタコツボックスを……倒す!
 そして俺は、シューターを構えて、タコツボックスの顔面めがけて――それを撃ち放った。
 タコツボックスは平気な様子を見せていた。
「!? まさか、そんな……!」
 ほんとうに、顔面はシューターが効かないというのか!
 だったら、どうやって倒せばいいのか!
 思い出せ、思い出せ……。アタリメ司令は何て言っていた? どのように倒せばいいと言っていた? 攻略方法は? 思い出せばきっと結果が見えてくる。方法と順序が見えてくるはずだ。だから、だから、思い出せ……!
 そう思い出そうと試みる間も逃げる必要がある。正確に言えばインクの海を作ってそこにもぐる。それによりインクリングはインクと同化出来るので、隠れることが出来るのだ。
 インクと同化したインクリングは、どこにいるのか見分けがつかない。だから、それを利用していろいろな場所に隠れることが出来る。おあつらえ向きに下にも空間がある。適当にインクで濡らしてそこへ隠れる。
 改めてタコツボックスを観測する。どうすれば倒すことが出来るか。しっぽのたこ足を攻撃することが出来るか。……少なくとも、ここからでは狙うことは難しいだろう。どうあがいても、ここから狙っても射程範囲外だ。狙うとすれば至近距離から狙えばいいだろうが……しかしタコツボックスはどこから狙ってきてもいいように細かく動いている。あの図体の癖に、かなり俊敏だ。
「……どうすれば……!」
 そこで俺は、あるものを見つけた。
 それは身体の特徴だ。身体の横――そこは紫色に塗られていた。
 しかしそこを濡らせば上ることが出来るのではないか?
 そして倒れたタイミングを狙って根元からたこ足を狙えば……。
 そこまで考えたところで、ようやくこの戦闘に一筋の光明が見えたような気がした。
「……いける、これなら、行ける!」
 そして俺は、イカから人間の姿になって――そのまま特攻していった。
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posted by 巫夏希 at 03:44| Comment(0) | Splatoon:Reboot
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